再読したくなる切り抜きブログ

読んだことのある「本」をもう一度読みたくするブログ

ヘレンケラー自伝

ヘレンケラー自伝

 


結局、真の知識を手に入れたい人は誰でも、険しい山をひとりで登らなければならないからだ。頂上へは楽な道などない、それなら私は自分なりにジグザグに登ればいい。何度も足を滑らせては後退し、ころび、立ち止まる。隠れていた障害物にぶつかって、怒りに我を忘れることもある。それでも気を取り直し、意気高らかに進むのだ。足取りが重くなっても、少しずつ前へ進めば、元気がわいてくる。そしてさらにやる気が出て、ずんずん上まで登っていける。ついに広がる地平線が見え始めた。苦しんだ一歩一歩が勝利なのだ。

 


「知識は力なり」という。しかし私は、知識とは幸福だと思う。深く、広い知識を手に入れれば、正しい目的と誤った目的を区別でき、崇高なことと低俗なことを識別できるからだ。人類を進歩させた思考や行いを知ることは、何世紀にもわたる人類の偉大な「心臓の鼓動」を感じることでもある。そしてこの「鼓動」の中には、天へと向かう人類の苦悩が感じられるはずだ。

 


不自由な私の生活も、さまざまな点で美の世界と繋がっていることをおわかりいただけたと思う。すべては驚きに満ちている。暗闇と沈黙の世界も例外ではない。だから、私はどんな境遇にあっても、満足することを学んだのだ。

 


希望が微笑みとともにやって来て、つぶやく。「喜びは、自分を忘れることにあるのだ」と。だから私は、人の目に入る光を我が太陽とし、人の耳に聞こえる音楽を私の華麗なシンフォニーにしよう。人の唇からもれる微笑みを、自分の幸せと感じられる人間に私はなりたい。

 


「人を自由にし、高めるすべてのもの、人を謙虚にさせ、やさしい心にし、慰めるすべてのものの中に神がある。」