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科学的な適職

科学的な適職

本書が目指すゴールは、みなさんの仕事選びにおける意思決定の精度を高め、正しいキャリアを選び取る確率を上げ、最終的に「人生の後悔」を極限まで減らすこと

 


就職と転職の失敗は、およそ7割が「視野狭窄」によって引き起こされる

視野狭窄とは、ものごとの一面にしか注目できなくなり、そのほかの可能性を全く考えられない状態を意味します。

 


一番多かった失敗は「下調べをしっかりしなかった」

 


企業に「業績はどのように査定しますか?」や「仕事の裁量権はどれくらい確保されていますか?」という質問をする人が少なかった。

 


視野狭窄の定番パターン3つ

・お金に釣られる

・「逃げ」で職を決める

・自身がありすぎる、またはなさすぎる

 


私たちは、仕事選びについてもっと徹底的に考え抜くべきである

 


このような現代的な悩みに私たちの脳は適応していないため、大量の選択肢を前にした人の多くは不安や混乱の感情に襲われる。

 


・後悔の少ない意思決定をするにはどうしたら良いのか?

・私たちに本当の喜びをもたらす働き方とは何か?

・「人生の選択」という正解のない悩みにどうやって答えを出せばいいか?

 


ここでいう「適職」の定義とは

・あなたの幸福が最大化される仕事

すなわち、毎日のタスクを通して生活の満足感が上がり、喜びを感じる場面が増え、悲しみや怒りなどのネガティブな感情を減らしてくれる仕事のこと。

 


ステップ1・幻想から覚める

 


ステップ2・未来を広げる

 


ステップ3・悪を取り除く

 


ステップ4・歪みに気づく

 


ステップ5・やりがいを再構築する

この5つのステップを使う目的は

①意思決定の精度を上げて正しい仕事を選ぶ

②正しい仕事を通して人生の幸福度を上げる

 


仕事選びで失敗しないために、仕事選びの場面で誰もがハマりがちな定番のミスを知っておくこと

①好きを仕事にする

②給料の多さで選ぶ

③業界や職種で選ぶ

④仕事の楽さで選ぶ

⑤性格テストで選ぶ

⑥直感で選ぶ

⑦適正に合ったた仕事を求める

 


大罪1・好きを仕事にする

多くの職業研究によれば、自分の好きなことを仕事にしようがしまいが最終的な幸福感は変わらないからです

 


天職とは、自分の中で養っていくものだからです。

最初から自分の仕事を天職だと考えた人はほぼいませんでした。最初のうちはなんとなく仕事を始めたのに、それに努力を注ぎ込むうちに情熱が高まり、天職に変わった人がほとんど

 


情熱の持てる仕事とは

その仕事に情熱を持てるかどうかは、あなたが人生で注いだリソースの量に比例するのです

 


「情熱は何かをやっているうちに生まれてくるものだ」との思いが強いと、最後までやり抜く可能性が高くなる

 


大罪2・給料の多さで選ぶ

給料と仕事の満足度は「r=0.15」の相関関係しかない

 


それよりも、仲がいいパートナーとの結婚や、健康にベクトルを向けた方が、収入アップから得られる幸福より6000%も大きい

 


私たちの幸福度が年収400〜500万あたりから上昇しづらくなる可能性は高い

 


どれだけいい時計を付けていても、周りがそれよりもいいものを付けていたら幸福度は上がらない。=「ランク所得税

 


大罪3・業界や職種で選ぶ

この考えが誤りな理由

・専門家だろうが有望な業界など予測できない

・人間は自分の個人的な興味の変化も予測できない

 


「歴史の終わり幻想」

大半の人は「現在の価値観や好みがもっとも優れている」と思い込み、過去に起きたような変化が未来にも起きる可能性を認めない

しかし、専門家でも次に来る業種はわからないし、自分の好みの価値観も変わってくる。

 


大罪4・仕事の楽さで選ぶ

ストレスが体に悪いのは確実なものの、その一方では「楽すぎる仕事」もまた、あなたの幸福度を大きく下げてしまう

 


昇進といえば給料アップのメリットが頭に浮かぶが、実際にあなたの幸福度を左右するのは裁量権のほう!

 


ストレスは諸刃の剣であり、幸福度を上げるにも下げる方向にも働く

 

 


大罪5・性格テストで選ぶ

残念ながら、性格診断によって適職が見つかる保証はどこにもありません

 


大罪6・直感で選ぶ

直感が正しく働くには次の条件を満たさなければならない

①ルールが厳格に決まっている

②何度も練習するチャンスがある

③フィードバックがすぐに得られる

残念ながら、仕事探しはこれに当てはまらない

 


ほとんどの人生の選択においては、論理的に考える人のほうが人生の満足度が高く、日常のストレスも低い

 


大罪7・適正に合った仕事を求める

インターンシップも前職の経験も適正判断には役立たない

 


日本の企業でよく使われている「普通の面接」や「インターンシップ」「これまでの職業経験」などは、パフォーマンスの指標としてはほぼ使えない。  

 


ステップ2・未来を広げる

 


適職探しも、たいていの人は「この仕事は良さそうだ」と思った直後から思考が狭まり、それ以外の選択肢に目を向けられなくなってしまうのです。このままでは、いつまでたっても最適な仕事は見つかりません。

 


仕事の幸福度を決める「7つの徳目」(あなたの仕事人生を幸せに導くために必要な要素)

①自由・その仕事に裁量権はあるか?

②達成・前に進んでいる感覚は得られるか?

③焦点・自分のモチベーションタイプに合っているか?

④明確・自分のモチベーションに合っているか?

⑤多様・作業の内容にバリエーションはあるか?

⑥仲間・組織内に助けてくれる友人はいるか?

⑦貢献・どれだけ世の中の役に立つか?

 


これらの要素がそろった仕事であれば、どんなに世間的には評価が低い仕事でも幸せに暮らすことができるわけです

 


徳目1・自由

数ある研究の中でも、「自由」ほど仕事の幸せを左右する要素はありません。

 


もし企業で働くのなら、「労働時間はどこまで好きに選べるのか?」と「仕事のペースはどこまで社員の裁量に委ねられているのか?」という2つのポイントだけは、必ずできる範囲でチェックして下さい!!

 


男は仕事の進め方と作業ペースの自由が効くほど幸福度は上がる

 


徳目2・達成

近年では、科学の世界でも「小さな達成」が仕事のモチベーションを大きく左右することがわかってきました。

 


人間のモチベーションがもっとも高まるのは、少しでも仕事が前に進んでいる時

 


適職探しでチェックしておきたいポイント

・仕事のフィードバックはどのように得られるか?

・仕事の成果とフィードバックが切り離されていないか?

 


徳目3・焦点

適職を探すのに唯一の性格テストとされるのが「制御焦点」です。

 


攻撃型・目標を達成して「利益」に焦点を当てて働くタイプ

防御型・目標を「責任」の一種としてとらえ、競争に負けないように働くタイプ

(そのうちやれ!俺!)

 


徳目4・明確

賃金が不公平な企業に勤めると早死にする

 


・信賞必罰をハッキリさせること

・タスクの明確さ

 


『・会社に明確なビジョンはあるか?そのビジョンを実現するために、どのようなシステムを行っているか?』

・『人事評価はどのようになされているか?個人の貢献と失敗を目に見える形で判断できるしくみは整っているか?』

このあたりは、採用面接などで、チェックしておきたいポイント

 


徳目5・多様

「快楽のウォーキングマシン」

人間はどのような変化にもすぐに慣れてしまう性質がある 

 


快楽のウォーキングマシンに立ち向かう方法は「日常にどれくらいの変化を感じられるか」

 


チェックポイント

・プロジェクトの川上から川下まで関与できるか?

 


徳目6・仲間

給料の多さや仕事の楽しさなどの要因とは関係なく、社内にいい友達がいるだけでも人生が幸福になる

 


人間関係の悪化がおよぼす影響は計り知れず、そのダメージのレベルは長時間労働や福利厚生の悪影響を上回る

 


適職選びでは、『その組織には、自分に似た人がどれくらいいそうか?』

 


徳目7・貢献

「満足度の高い仕事とは、他人を気づかい、他人に新たな知見を伝え、他人の人生を守る要素を持っている」

 


タスク重要性

「その仕事がどれくらい他人の生活に影響を与えられるか?」

 


貢献の考え方は、「科学的に正しいキレイゴト」

 


他者への親切によって満たされる三つの欲求

①自尊心

②親密感

③自立性

 


『そのため一部の学者などは、親切による幸福度アップの効果を「ヘルパーズ・ハイ」と呼んでいます。わざわざドラッグの力など借りずとも、私たちは社会への貢献で十分ハイになれる』

 


人間には「自分の視野の限界」を「世界の限界」だと思い込む傾向があるため、最高の職を探すためにはこのステップが欠かせない

 

 

 


ステップ3・悪を取り除く

 


私たちに悪影響を及ぼす職場の特徴は2つ

①時間の乱れ

時間の乱れとは、働く時間の混乱が原因で健康リスクが増大するパターンです

②職務の乱れ

職務の乱れは、仕事や報酬の内容に一貫性がないせいで体を崩すパターン

 


シフトワーク=不特定なタイミングで深夜や早朝に働かねばならない仕事のこと

週3のシフトワークで体内時計が壊れる

 


通勤時間が長くなるほど人生が不幸になる

 


また、プライベートで仕事のことを「考えただけ」でも私たちの幸福度は激減してしまう

 


このことから「休日に上司が普通に連絡してくる会社」や「休暇中の仕事が当たり前な文化を持つ企業」は避けるべき

 


雇用が不安定なギグエコノミーでは、不安定な賃金や勤務スケジュール、次の仕事が見つからない不安などがストレスになり、長く続けるほどストレスが溜まっていく

しかし、高度なプロフェッショナルだと幸福度は高くなる!

 


最高のチームに必要なのは「心理的安全」だということ!

心理的安全とはチームに対する信頼感のことで、「どんなにひどい失敗や恥ずかしいミスをしても、この仲間ならバカにもされないし適切に助けてくれるだろう」と思える感覚のこと

 


心理的安全に比べれば、カリスマ的なリーダーがいようが、メンバーが優秀だろうがメンバーの能力が高かろうが、心理的安全に比べれば無に等しい

 


いい同僚や上司に恵まれない人は、そうでない人に比べて50%ほど早死にする

 


ソーシャルサポートの有無は外からの判断が難しいが、ひとまずことポイントにチェックする

・社内での出世競争が激しすぎるような兆候はないか?

・マネージャーが従業員の成果にフィードバックを与えるシステムはできているか?フィードバックを管理職の自主性だけに任せていないか?

・育児や出産休暇、健康維持のための補助金システムなど、社員に「困ったことは会社がどうにかする」というメッセージを発しているか

・社内でどのような交流イベントが行われているか?

 


職場の「8大悪」ワースト・ランキング

ワークライフバランスの崩壊

②雇用が不安定

長時間労働

④シフトワーク

⑤仕事のコントロール権がない

⑥ソーシャルサポートがない

⑦組織内に不公平が多い

⑧長時間通勤

 


人生の方向を決める一大事にも関わらず、いざ面接になると遠慮してしまうケースが実に多い

 

 

 


ステップ4・歪みに気づく

私たちの意思決定力は生まれつき深刻なバグを抱えており、そのせいでいかに企業の財務諸表を分析しようが、どれだけ自己分析を行おうが、正しくキャリアを選ぶことはできないからです

 


正しい意思決定を行うためには、緻密なデータ分析よりも脳のバグを取り除くプロトコルのほうが600%も重要である

 


私たちに生まれつき備わったバグは、行動経済学では「バイアス」と呼ばれる。直訳すれば「偏ったものの見方」のことで、「人間はつねに一定の決まったパターンでミスを犯す」という現象を表した言葉。

 


適職探しにおいては「確証バイアス」が代表的。

これはいったん信じたことを裏付けてくれそうな情報ばかりを集めてしまう心理

例 「今の時代はフリーな働き方が最高だ「と思い込んだ人が、独立して成功を収めた人の情報ばかりを集め、同じような考え方をする仲間とだけ付き合うようになるのが典型的

 


バイアスに向き合い方

そこで肝に銘じるべきは、あらかじめ特定のプロコトル(手順)を決めておき、自分のバイアスを粛々とチェックすることです。

 


時間操作系プロトコル

できるだけ将来をハッキリと思い描き、近視眼的な判断をリセットするのが最終ゴール

 


(技法1)10/10/10テストーこの選択をしたら10年後にはどう感じるだろう?

 


①この選択をしたら、10分後はどう感じるだろう

②この選択をしたら、10ヶ月後にはどう感じるだろう?

③この選択をしたら、10年後にはどう感じるだろう?

 


(技法2)プレモータムー「事前の検死」で未来の予測精度が30%高まる

 


プレモータムとは、失敗を前提にして意思決定をすること

 


①敗北の想定

今から3年後の未来を想像して、あなたの選択が「完全な失敗」に終わった場面をイメージします。

②原因の探索

続いて、先にイメージした「完全な失敗」がどのような原因で起きたのかを紙に書き出していきます。自分が普段からどんな失敗をしやすいか考えて、現実にありそうな理由をできるだけ思いつくようにしてください。

③過程の想起

失敗の原因を思いついたら、そのプロセスを時系列で詳しくイメージしてください。あなたの決定が失敗に終わるまでにどのような経緯があったのかを順番に想像していきます。

この段階では、どれだけリアルに失敗のプロセスをイメージできるかが最大のポイント。

④対策の考察

先ほど考えた失敗の解決策を考えていきます。

 


いかに合理的な思考力を持った人だろうが、意思決定の精度には歪みが生じる。

 


視点操作系プロトコル

視点をコントロールしてバイアスを乗り越える手法

 


(技法3)イリイスト転職ノートーカエサルをマネれば意思決定の精度が上がる

 


悩みを三人称で書き記したグループは他人の視点でものごとを考えるのが上手くなり、複数の視点からベストの対策を導き出せるようになったのです

 


イリイスト転職ノートの書き方

①1日の終わりに、自分がその日に行った就職・転職に関する意思決定の内容を三人称で書き出す

②日記には最低でも15分掛け、二段落ぐらいの文章を書く

 


また書き出す内容は

・どんなことを決めたのか?

・どのような流れでその決定にいたったのか?

・その決定をするために、どのようなエビデンス(証拠)を使ったのか?

・その決定により、どんな結果を期待しているのか?

・自分の決定にどのような感情を抱いたのか?

 


これをするメリットは

1つは、意思決定の記憶をあとから改ざんできないこと

2つ目は、意思決定のパターンがハッキリすること。

 


(技法4)友人に頼るー友人に聞けば自分の寿命までわかる

 


・本人の自己申告よりも、友人に尋ねた性格判断の方が格段に正しかった

 


人は誰しも「自分のことは自分がよくわかっている」と思いたがりますが、実際には自己評価ほど当てにならないものはない

 


職を探すときは、たまに会うぐらいの友人に頼ったほうが役に立つ(1970年台の実験)

 


現代では

・「弱い結びつき」が職探しに役立ったケースは全体の17%だった

・転職に成功したひとの60%は、親友や同僚などの「強い繋がり」のほうが役に立ったと回答した

 


現代的な問題を解決するには、「強いつながり」に頼るのがベスト

 


友人からのフィードバックを高める方法

①360度フィードバック

いろいろな知り合いに尋ねる

②クローズドクエスチョン

イェスかノーで答えられる質問

③親友イメージング

あなたの脳内の友人と会話をするだけでも、ある程度までバイアスの影響から逃れられるのです

 


例 「あなたが今抱えているトラブルが、親友の身に起きたことを想像してください。その親友は、あなたを悩ませるトラブルと同じ状況にいます。その親友の感情を詳しくイメージしましょう」

 


使い方

①就職に関する現在の悩みをひとつだけピックアップする

②その悩みが、1番の親友の身に起きたものだとイメージする。

③悩める友人にどんなアドバイスができそうか想像する

 


一番騙しやすい人間は自分自身である。

 


繰り返しになりますがバイアスは全ての人間が生まれ持つバグであり、その影響から自由な人は存在しません

 

 

 


ステップ5・やりがいを再構築する

ボンヤリした不安に悩んでしまうケースへの対処法。

①新たな評価値をもとに職場を判断する

②やはり「失敗だった」とわかれば転職する

③「さほどの不満ではない」と判断できたら問題改善にリソースを注ぐ

 


「キャリア・ドリフト」

①人生は予測可能なイベントの連続であり、事前の計画通りに進むことは少ない

②そのため、自分のキャリアについては、事前に細かく決めておくよりも大きな方向性だけを定めた方がいい

③いったん方向性を決めたら、あとは人生に起きた偶然や予期せぬ出来事に柔軟に対応しながらキャリアを積めばいい

 


どうせ人生は予測できないのだから下手にコントロールしようとせず、大きな方向性だけを決めた後は流れに身をゆだねる(ドリフト)のが最適だ。