再読したくなる切り抜きブログ

読んだことのある「本」をもう一度読みたくするブログ

ファスト&スロー下 要約抜粋

ファストスロー下

 


人間の直感の定義

「状況が手がかりを与える。この手がかりをもとに、専門家は記憶に蓄積されていた情報を呼び出す。そして情報が答を与えるのだ。直感とは、認識以上でもなければ以下でも無い。」

 


自分の判断は信頼に値すると熱心に説く輩は、自分も含めて絶対信頼するな

 


直感がスキルとして習得できる2つの条件

・十分に予見可能な規則性を備えた環境であること

・長期間にわたる訓練を通じてそうした規則性を学ぶ機会があること

 


だからファンドマネージャーや政治評論家の長期予想は当たらない(予測が不能だから)

 


一定の規則性が存在しない状況では、直感は信用できない

 


計画の錯誤

・ベストケース・シナリオに非現実的なほど近い

・類似のケースに関する統計データを参照すれば改善の余地がある

 


なにが起きているのか考えたくない、考えまい、とする状態である。こうして作者は惰性で計画を進めた。その後により合理的に計画を立て直す試みすらしなかった。

したがって、外部情報を自ら探す習慣を身につけろ!

 


アンソニーは100万円持っています

ベティは400万円持っています

 


2人に次の選択肢が提示されました

・ギャンブルを選べば、5分5分の確率で、あなたの財産は100万円か400万円のどちらかになります。

・ギャンブルを選ばなければ、確実に200万円になります

ベルヌーイの理論(結果の効用)だと、2人とも同じものを選ぶが実際は違う

 


プロスペクト理論

例 彼女は扶養料を求めて、離婚した夫を訴えた、彼女は和解で手を打ちたかったが、夫は裁判で決着をつけたかった。なぜなら、彼女はもらう側だから、リスクを回避する。一方、夫はどう転んでも悪い目ばかりだから、リスクを取る。

 


富の状態の評価に必ずしも左右されない、人間は1万円得するのが好きで一万円損をするのが嫌いなのは、富の増減の問題ではなく、単に勝つのが好きで負けるのが嫌いだからである。

 


保有効果

選好は一定不変ではない。参照点が変われば選好は変わる。

変化に伴うデメリットはメリットより強く感じられ、現状維持バイアスを誘発する。

 


熟練トレーダーは「私はAを持つことを、代わりにBを持つことと比べてどれほど強く望んでいるのか」と自問するようになる。これはエコン(エコノ)の発する質問であり、このように問えば保有効果は発生しない。なぜなら、持っている状態の比較になるので、手に入れる喜びと手放す苦痛との非対称性が出現しないからである。

 


プロスペクト理論における貧しい人は、必要にもかかわらず手に入らない品物がたくさんあるため、常に損している状態にある。このような状態では、わずかなお金を受け取っても損が減るだけで、得をするとは認識されないから、保有効果が働かない。

 


人間関係を長期的に上手くいくためには、良いことを求めるよりも悪いことを避ける方が大切。

安定した関係を維持するためには、楽しい会話と楽しくない会話との比率を少なくとも5対1にしなければならない。

 


どちらの当事者も,相手方の譲歩は自分の譲歩ほど苦痛でないと考えている。もちろんどちらも間違っている。これは、単に、損失の非対称性が原因だ。

『だからこそ、まなかに俺は◯◯やってあげてるのにみたいなことを言う前に、一度まなかにしてもらったことを考えてから言え!!』

 


交渉の際はパイを大きくする利得の面に目を向けろ、損失に目を向けると決裂しやすくなる

 

リスクの小さな有利なギャンブルをするかどうか決めるときは「小さく勝って小さく負ける」と考えろ!そして広いフレーミングで考えろ(むずいが)

そうすれば,負けたときの感情反応をコントロールできる!

 


リスクポリシー

あらかじめ、リスクポリシーを決めておいて、問題が持ちあがったら必ず適用するようにすれば、はるかに良い選択ができるだろう。

例 延長保証は買わない、それがリスクポリシーなんだ

 


起こりうる後悔に先手をっておく方法が効果的である。方法としては、予想される後悔をあらかじめ書き出しておくことだ。そうすれば、悪い結果になったとき、自分は決定する前にちゃんとその可能性を考えておいたのだと思い出し、あまり後悔に悩まない。

また、後悔は後知恵バイアスとセットになっていることが多いので、あらかじめ後知恵を排除しておくと良い。私自身は後知恵対策として、長期的な結果を伴う決定を下す際には、徹底的に考え抜くか、でなければごくいい加減にざっくり決めるか、どちらかに作者はしている。中途半端に考えるのが一番良くない。

 


選好逆転

単独で考えた時と、並んで考えた時では答えが逆転する

例 イルカの絶滅のための募金と、農家の皮膚癌への対策の募金の場合が当てはまる。

 


並列の方がシステム2で考えるので、並列の方が好ましい。

余談 アメリカの陪審員判例を見てはいけないことになっている、そのためシステム1で判断しているのではないかと懸念されている。

 


フレーミング効果

・10%の確率で9500円もらえるが、90%の確率で500円失うギャンブルをやる気があるか?

・10%の確率で10000円もらえるが、90%の確率でなにももらえないくじの券を500円で買いますか?

と聞かれると後者にはyesという人が圧倒的に多い、驚くことに損失という言葉は費用という言葉より、ずっと強い嫌悪感をかき立てる。

 


5000円もらった

・ルーレットで赤が出ればそのまま5000円もらえる、しかし白が出れば3000円失う

・ルーレットで赤が出ればそのまま5000円もらえる、そして白が出だとしても2000円もらえる

 


・プログラムaを採用すると、200人が死ぬ

・プログラムbを採用した場合、3分の1の確率で600人が助かるが、3分の2の確率で1人も助からない

この場合皆がaを選ぶ、しかし見方を変えると

 


・プログラムaを採用すると、400人が死ぬ

・プログラムbを採用すると、3分の1の確率で1人も死なずにすむが、3分の2の確率で600人が死ぬ

 


メンタル・アカウンティング

・ある女性が映画のチケットを2枚買った、しかし映画館についた時にはチケットをなくしていることに気づいた、女性は買い直すでしょうか?

・ある女性が映画のチケットを買うために用意していた2000円を無くしてしまいました、しかしクレジットカードはあります買うでしょうか?

この場合、前者では買わず、後者では買う

 


前者では「映画」という勘定に計上されるため、改めて買えば、同じ映画に倍払うことになると考えるから、高すぎると思い買わない。

後者では、妥当な決定に至った。損失はサンクコスト(埋没費用)であり、サンクコストは無視するべきだからである。

 


だから、もしチケットをなくした人がいるならば、「もし同額の現金を無くしたのだとしたら、あなたはチケットを買い直しますか?もし答えがYESなら、迷わずチケットを買って楽しんでください!」

 


・ピーク・エンドの法則

記憶に基づく評価は、ピーク時と終了時の苦痛の平均でほとんど決まる。

・持続時間の無視

検査の継続時間は、苦痛の総量の評価にほとんど影響を及ぼさない

 


つまり私たちは記憶する自己なのであって、実際の場面に直面している経験する自己は、私にとって他人のようなものだということになる

 


経験をより良いものにする一つの方法として、受動的な楽しみ(テレビなど)から能動的な楽しみ(社交や運動など)に切り替えるのも良い!

また、時間の使い方を自分でコントロールすることで、自分の好きなことをする時間を増やすことも、幸せになる方法の一つである。

 


幸せとは、あなたが愛する人、あなたを愛している人とともに時を過ごす経験であると言っても、さほど誇張ではない。

 


「しあわせはお金で買えると思いますか?」

貧しければみじめであるし、裕福であれば生活満足度は高まる。だが裕福だからといってより多くの幸福感が得られるわけではない、ということ

 


もうそれ以上は幸福感を味わえないという所得の閾値は、年収約750万円だった。

 


回答者の生活環境と生活満足度の相関性が低い理由の一つとして、幸福感も生活満足度も、持って生まれた性格によって決まるところが大きいことが挙げられる。幸福を感じる気質というものは身長や知能のように遺伝することが、研究で判明している。

 


自分で設定する目標がその後の人生やその後の幸福感に大きな影響を与えるとすれば、経験する自己の幸福感にだけ注目するのは筋が通らない、ということである。その人が何を望んでいるかを無視して、幸福だとか幸福でないとか言うことはできない。その一方で、生活の中で実際に感じる幸福感を無視して、生活全体を評価したときにはどう感じるかだけに注目することも納得しがたい。私たちは、幸福の概念を複合的に捉える必要性を認め、二つの自己それぞれの幸福を考えるべだ。

 


焦点錯覚

あなたがあることを考えている時、人生においてそのこと以上に重要なことは存在しない

 


焦点錯覚は、「見たものがすべて」効果の一種である。このケースで言えば、気候にばかり注意を払い、幸福を決める他の要因を見ようとしない。

 


善かれ悪しかれ新しい状況に順応するということは、その状況についてだんだん考えなくなることである。この意味で、麻痺や結婚など長期的に持続する生活環境の多くは、それに遭遇したときにだけ一時的に実感する状況であるとも言える。

 


焦点錯覚は、たとえ最終的には魅力を失うもの(車など)であっても、当初興奮したモノや経験の好感度を高めるというバイアスを生む。また、持続時間を無視するため、長期的に関心を持ち続ける経験が、本来より低く評価されることになる。

 


私たちは、「しあわせ」という言葉が単一の意味を持つものではないこと、したがって、あたかも単一の意味しか持たないように扱うべきでないことを学んだ。

 


結論

二つの自己

私たち人間にとって、時間は究極の有限のリソースである。これは重大な事実であるにもかかわらず、記憶する自己はこの現実を無視する。

長時間にわたる穏やかな幸せよりも、短時間の激しい喜びを好ましいとするバイアスが形成される。