20歳の自分に受けさせたい文章講義 要約抜粋
20歳の自分に受けさせたい文章講義
『書こうとするな、翻訳せよ』が原則
話すことと、書くことは全くの別の行為
学校では、文章の書き方・組み立て方を体系的に教わってきたか
文章を書く上でぶつかる2つの問題
①文章を書こうとすると、固まってしまう
②自分の気持ちをうまく文章にすることができない
書くことをやめて翻訳すふのである
頭の中の「ぐるぐる」を、伝わる言葉に翻訳したものが文章なのである
感想文を書こうと思うなら、あらゆることを自分の頭の中で整理・再構築し、アウトプットしていかなければならない
人は解を得るために書くのだし、解がわからないから書くのだ
考えるために書きなさい
聞いた話を、誰かに話す。これは翻訳の第一歩だ
理由は3つ
①再構築
②再発見
③再確認
①は誰かに自分の言葉で話すことによって、バラバラに散らばった内容を再構築し、理解を深めていく
②自分の言葉に翻訳する過程で突然理解できる瞬間がある
③われわれは翻訳するとき、自分が対象のどこにピントを合わせているのか知ることになる
文章力という武器を手に入れておくことは、将来に対する最大級の投資になる
文体とはリズムである
文がおかしいのではなく、文と文の「つなげ方」や「展開の仕方」がおかしいとき、その主張は支離滅裂になり、リズムよく読めなくなるのだ
文章のリズムは「論理展開」によって決まる
論理破綻に気づくためのキーワードは「接続詞」だと、僕は思っている
接続詞を意識するだけで、文章は論理破綻しなくなる
例 2つの文をつなぐ接続詞を考えて。二つの文がまったく別の話をしているときは、しっくりこない
(マッキンゼーの書く技術では、言葉の論理的な話だが、この本は日本語的な話)
大切なのは自分の意見が完全な主観であり、感情だということ。したがって、われわれは感情を伝えたいからこそ、論理を使うのだ。主観を語るからこそ、客観を保つのだ。
読者は一瞬で「なんか読みやすそう」「なんか読みにくそう」を判断している
視覚的リズムを作るのに必要な3つの要素
①句読点の打ち方
②改行のタイミング
③漢字とひらがなのバランス
句読点は「一行に一つ」
それは、「1行の間に必ず句読点を一つ入れる」というルール
物理的にはわずか半分字分ほどのスペースだが、視覚的にはとてつもなく有効なのだ
改行のタイミングは早くていい
書き手は、内容だけでなく「見た目」にも気を配らないといけない。
最大5行あたりをメドに改行したほうがいいだろう
文章が相手にどう読まれるかが重要だ!
改行には伝えたいメッセージを強調するという、役割もある。
漢字を多用した文章は第一印象が悪い
ひらがなにはひらがなの圧迫感がある
漢字そのものが太字で書かれたキーワードのような役割を果たしているわけだ
言葉の重複を確認する
「〜である」と締めたあとに、また「〜である」だとリズムが悪い。「〜だ。」など、別の語尾で締めるべき
また、たとえ連続してなくても同じ接続詞が近すぎる場所に出てくるのも禁物である。せめて3段落くらいは間を開けたい。
文章にリズムをつける方法として、断定がある。言いきりだ。
断定の言葉はその切れ味の鋭さゆえのリスクが伴う。
したがって、断定する箇所の前後を、しっかりとした論理で固めるしかない
第二講「構成は眼で考える」
文体の妙、文章の個性、あるいは文章の面白さ。これらを決めているのは、ひとえに構成である。論理展開である。(考える力、書く力でもそんなこと言ってた)
①序論 客観のカメラ
②本論 主観のカメラ
③結論 客観のカメラ
①では、客観的な状況説明をする。これから本論で何を語るのか、なぜそれを語る必要があるのか。
②では、それに対する自分の意見であり、仮説である。
③では、再び客観的な視点に立って論をまとめていく
日常文(原稿用紙3〜5枚程度の文章)だからこそ大切になる要素がある。それは導入部分の書き方だ。
導入部の3パターン
①インパクト優先型
あえて冒頭に読者が「おっ?」と興味を惹くような結論を持ってきて、そこからカメラをロングショットに切り替えるのだ(マッキンゼーの書き方!)
②寸止め型
核心部分は観客に想像させるのだ
例 ホラー映画でいうところの殺害の瞬間は見せず被害者の叫び声だけを聞かせる
もう少しで正体を突き止められる、というギリギリのところまで情報を開示するのが、興味を惹きつけるポイント
③Q&A型
問題と答えを導入部で揃える
面白味は少ないが、手堅い
論理とは、自らの主張が確かな理由によって裏打ちされたとき、その文章は「論理的」だと言えるのだ
①大マトリョーシカ 主張…その文章を通じて訴えたい主張
②中マトリョーシカ 理由…主張を訴える理由
③小マトリョーシカ 事実…理由を補強する客観的事実
文章を読むとき、読者は必ず「この人は何が言いたいのだろう?」と考えながら読んでいる
主張が明確になることで文章全体が読みやすくなるのだ
事実を入れず、主張と理由だけで構成しようとしても、詰めの甘い文章になってしまうだけだ。
自分の文章の中に主張・理由・事実の3つがあるか、そしてその3つはしっかりと連動しているか、いつも意識するようにしよう。
文章の構成を考えるとき、ただ頭の中で素材をこねくり回しても絶対にうまくまとまらない。
「序論2:本論6:結論2」あたりの割合が無難
第3講「読者の椅子に座る」
アマチュアだろうとプロだろうと、メールだろうと小説だろうと、あらゆる文章の先にはそれを読む読者がいるのだ
今この瞬間にも日本のどこかに「10年前のあなた」いるからだ。
人間はどんな時代も同じこと(普遍的なこと)を考え、同じことに悩み、同じことで苦しんでいる。
読者に甘え、本来やるべき説明を怠っているから、読みづらい
そうならないために「そんな文章で、うちのオカンは理解してくれるかな?」
本を読むにあたっては手当たり次第に読むこと。
自分の好き嫌いをハッキリさせながら読むこと。言い換えるなら思いっきりわがままで、感情的な読者になること。
そして嫌いと感じた文章を徹底的に掘りざける
伝わるように書いてこそ、文章としての機能を果たすのだ
人は他人事では動かない
起転承結
起承転結のトラブルメーカーである転はほんの少し配置転換してあげるだけで日常分でも大きな効果を発揮する
例文
起…いま全世界的に温室効果ガスの削減問題が議論されている
承…しかし、地球温暖化現象は本当に温室効果ガスによるものなのか?
転…(その疑問を抱いた理由、客観的事実など)
結…よって、温室効果ガス削減の議論は根拠に乏しいものと考える
起転承結のコツ
冒頭に真逆の一般論を持ってくる
冒頭にどんな一般論を持ってくるか?こそが最も大切である。
したがって、文章の起転承結を成立させるためには、冒頭に「自らの主張と真逆の一般論」を持ってくる必要がある。
(真逆の一般論は基本的になんでも機能すると思う)
大学のレポートでも、あなたの主張を正確な形で知っているのはあなただけであり、すべての読者は「それを知らない素人」である。
反論…読者とともに、文章の中でももう一度「ムダな回り道」を歩く。
しっかりとした主張には反論が出るのは当たり前だし、反論に答えることは、読者との対話なのである。
文中にツッコミが入り、そこに答えていくだけで読者の疑念は晴れていく
文中にツッコミを入れていくことはら読者に対する優しさのようでありながら、同時に文章の強さを高める作業でもある
例文
①主張…高校では日本史を必修科目とすべきである
②理由…世界史が必修で、日本史が選択科目となっている現状はおかしい
③反論…一方、「国際化に対応するには世界史だ」との反対意見もある。
④再反論…しかし、国際社会で自国の歴史や文化を語れないほうが問題だ
⑤事実…実際のところ、他の国々では自国の歴史教育に力を注いでいる
⑥結論…今後ますます国際化が進むからこそ、日本史の教育が大切だ
読者にゴール地点を見せるのが目的ではなく、ゴールまでの道のりを示すことが文章の役割なのだ
第4講「原稿にハサミを入れる」
素材も題材も、探す必要はないのだ
問題は「何を書くか?」ではなく、「何を書かないか?」なのだ
「何を書かないか?」を基準にすると、発想が引き算になるからだ。
引き算で考える作業は、最終的に「自分にとって大切なものは何か?」「自分はどういう人間で、どんな価値観を持って生きてきたのか」を考えることにつながっていくからだ。
まずは頭の中のぐるぐるを紙に書き出す
書きたい気持ちはあるけれど、何を書けばいいかわからないときは、強引に可視化してしまえばいいのである。
そして頭の中身を可視化するには、紙に書き出すのがいちばんである。
例 まずお題に関係するものを10個書く。そしてだいたいが連想的につながっているからそれ以外の内容を10個書く
ある傾向を持つキーワードとそれ以外のキーワードの両方を出し尽くしたとき、ようやく元ネタが揃ったことになる
自分の中にある元ネタを根気強く取り出し、峻別していくしない。自分に何重にも疑いの網をかけていくことで、ようやく書くべきことが見えてくる。見えてなかったものが見えてくる。
「なぜここにこの一文が入るのか」、あるいは「なぜここにこの一文が入らないのか」をしっかり説明できる自分であらねばならない
推敲とは「過去の自分との対話」
自分の文章にツッコミを入れ、ときに褒めながら読み進めていく
推敲するにあたって最大の禁句は「もったいない」である。
読者はあなたの頑張りを評価するのではない。あくまで、文章の面白さ、読みやすさ、そして書かれた内容について評価を下すのである。
少しでも長い文章を見つけたら、さっさとハサミを入れて短い文章に切り分けたほうがいい
もしあなたが接続詞の『が』を多用しているようなら、そこにハサミを入れられないか?、あるいは別の言葉に言い換えられないか?考えるようにしよう
日本語で長文を書いてしまうと「いまなんの話をしているのか」「結論はなんなのか」が不明瞭で、読者は集中して読むのが難しいのだ。
自分の文章は論理的、細部を詳細に書かれているかのチェック方法
論理的「自分の文章を図にすることはできるか?」と考える
細部を詳細「この文章を読んで映像が思い浮かぶか?」
行き詰まったらいったん書くのをやめて、文章を最初から読み返すことだ。
①文章を別のワープロソフトにコピペする
②文章のフォントを変更する
③縦書き・横書きを変更する
「いい文章」とは「読者の心を動かし、その行動までも動かすような文章」のことである。